機械の安全システムの構築について、リスクの低い機械に対して適当なレベルの安全制御機器がなくカテゴリ4のコントローラを使用するケースが多く行われていますが、実際には過剰なスペックであることがほとんど。それに対してHR5S形は簡単にカテゴリ2の構成を実現でき、半導体製造装置や食品機械、包装機械、測定機などに最適な安全システムを構築できます。
そんなHR5S形について、このたびTPR大阪精密機械株式会社様の歯車自動測定機CLPシリーズに採用いただきました。採用までの経緯と使った印象について、技術部先行開発グループの矢野様にお話を聞きました。
TPR大阪精密機械株式会社様は、歯車測定機の専業メーカーとして、1951年(昭和26年)に大阪市生野区で創業。1976年に世界で初めて電子創成式歯形・リード・ピッチ測定機を開発して歯車測定の自動化に成功し、歯車の精密加工と品質管理に大きな進歩をもたらしました。歯車測定一本で70年以上の歴史と実績があり、自動車の変速機をはじめ、航空機や建設機械向けの大型歯車からOA機器や精密機器の小型歯車まで対応し、自動歯車測定機CLPシリーズはこれまでに1600台以上の納入実績があります。
2007年には経済産業省から「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれ、2014年には同じく経済産業省から「グローバルニッチトップ企業100選」にも選定されるなど、世界でも特筆した技術を持つ元気な中小企業として認められています。
昨今の電子部品の入手困難によって調達が難しい部品がいくつか出てきて、社内からは、これを機に自動歯車測定機CLPシリーズの設計を見直そうという動きが出てきました。そのタイミングでIDECの営業の方からHR5S形の話を聞き、興味をもったのがきっかけです。
在庫があって手に入りやすいという話でしたので、はじめはやはり入手性でした。しかし詳しく話を聞いていくと、必要な安全機能・性能を今よりも低い原価で実現でき、サイズも小さいので制御盤内の省スペース化にも役立つところに心が惹かれました。
これまでCLPシリーズには、以前から全機種共通でカテゴリ4対応の安全リレーモジュールを使っていました。
しかし今回、IDECの営業担当の方に協力いただいて再度リスクアセスメントをしたところ、CLPを使った歯車測定作業はカテゴリ3以上が必要なほどにリスクは高くなく、実際にはカテゴリ2で十分なことが分かりました。カテゴリ2でもこの機械のリスクに見合ったレベルの安全が担保でき、さらにカテゴリ2対応機器の方がコストが安く手に入りやすいことから、今回の設計変更ではカテゴリ2対応のHR5S形を採用することに決めました。